芸術係数オンライン読書会:拡張された場における美術批評について vol.1

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開催日時 11月21日(土)19:00-21:00(延長可能性あり)
主催者:辻憲行(翻訳家/芸術係数主宰)
参加方法:Zoomによるオンライン参加(アーカイブなし)
参加料:500円/1000円(活動応援チケット)
対象テキスト:”Round Table: The Present Conditions of Art Criticism,” October 100, 2002

「批評という学問分野を律し、それを知的な権威体制の礎石に据えることで確立された規則や慣習は、あまりにも激しく改変され、建物全体が崩壊しかねない状態にある。……この状況が危機という相貌を呈していることは、たとえば、しばしば互いに対立する諸傾向が信じがたい速さで入れ替わり、つい先ほどまで前衛主義の最先端に見えたものをただちに時代遅れにしてしまうことにはっきり表れている。『新しい』という危険な言葉がこれほど気軽に使われたことはめったになかった。……今日では、出版される新刊書のほとんど一冊一冊が、新たな『新・新批評(nouvelle nouvelle critique)』の流派を創始している。」— Paul de Man, Blindness and Insight, 2nd ed.(ポール・ド・マン『盲目と洞察 現代批評の修辞学における試論』、月曜社)*邦訳未参照

「危険なのは、美術批評が文化の場から消えてしまうことではなく、かつての必然性を失ったまま存続し続けることである。[…]近年、美術批評の場はある意味で縮減してきた[…]。たとえば、芸術における自己言及性や「パラ・キュレーティング」の普及によって、批評が現場に到着するより前に、作品にはすでに言説的な基盤が与えられていることが多い。この状況は、学際的な対話の機会として肯定的に捉えることもできるが、その裏面では、美術批評が貢献しうる余地がますます小さくなる。他方、イザベル・グラウらの批評家は、知的労働と知識生産を重視するポストフォーディズムの経済的・文化的体制が、今日の美術批評家に新たな可能性をもたらすと論じてきた。だが、ここでも美術批評は、今度は「契約に縛られる」という別の意味において、contracted 〔契約下に置かれる/裁量権を縮減される〕になっている。」— Matthew Bowman, Art Criticism in the Contracted Field, :The Journal of Aesthetics and Art Criticism 79, no. 2 (2021),


芸術係数では、読書会を継続的に開催していきます。今回は、アメリカの美術批評誌『October(オクトーバー)』第100号(2002年春)に掲載された座談会「美術批評の現在の状況(The Present Conditions of Art Criticism)」を取り上げます。

ロザリンド・クラウス、ベンジャミン・ブクロー、ハル・フォスター、アンドレア・フレイザーら10名が参加したこの座談会の議論は、ほぼ四半世紀前に行われたものとは思えないほど、現在の私たちが直面している美術をめぐる言説環境の問題——より強い言葉を使うならば、その危機的状況——に向けられているように見えます。そして、その問題は日本を含む世界各地に共通するものであると同時に、日本においては、より深刻な形で現れているようにも思われます。

この座談会で議論されている「美術批評の危機」は、単に美術批評家の発言力が衰えた、あるいは批評が読まれなくなったという問題ではありません。より根本的には、美術批評が作品の価値をめぐる公共的な議論を成立させ、芸術の方向性に介入するための、独立した批判的実践としての役割を失いつつあるという問題です。

この座談会の面白さは、参加者たちが危機の存在をある程度共有しながらも、その原因や、それに応答するための方向性については大きく対立している点にあります。議論は一つの結論に到達するわけではありません。しかし、それぞれに異なる立場から発せられる言葉は、美術批評と芸術を取り巻く言説環境を多面的に照らし出し、そこに存在する矛盾や葛藤を浮かび上がらせます。そうした言葉の交錯を通じて、私たちは、美術批評をめぐる複雑な風景の広がりを目の当たりにすることになるのです。

美術批評とは何をする営みなのか。そもそも、私たちはなぜ美術批評を必要とするのでしょうか。 そして、美術をめぐる言説がかつてないほど大量に生産され、流通する一方で、それらがどのような批判的な力を持ちうるのかが見えにくくなった現在、私たちは美術批評に何を期待できるのでしょうか。

今回の読書会では、四半世紀前に交わされた議論を、単なる過去の記録としてではなく、私たち自身が置かれている状況を問い直すためのテキストとして読んでいきたいと思います。作品を制作する人、展覧会を企画する人、美術について考え、語り、そして見ることに関心を持つ人たちとともに、美術批評の現在と、その可能なあり方について考える機会にしたいと思います。


座談会参加者(発言順)

ジョージ・ベイカー(George Baker)
美術史家・批評家。UCLA教授、『October』編集者。歴史的前衛、写真・映画の理論、現代美術を研究。
ロザリンド・クラウス(Rosalind Krauss)
美術史家・批評家。コロンビア大学教授。『October』共同創刊者。構造主義やポスト構造主義を援用し、モダニズムを再検討した。
ベンジャミン・ブクロー(Benjamin H. D. Buchloh)
ドイツ出身の美術史家・批評家。元ハーヴァード大学教授。戦後前衛芸術、コンセプチュアル・アート、制度批判を専門とする。
アンドレア・フレイザー(Andrea Fraser)
アーティスト。UCLA教授。制度批判の代表的作家として、美術館や市場、芸術家と観客の関係に潜む権力構造を検証する。
デイヴィッド・ジョスリット(David Joselit)
美術史家・批評家。ハーヴァード大学教授、『October』編集者。戦後美術、視覚文化、メディアと芸術の関係を研究。
ジェームズ・マイヤー(James Meyer)
美術史家・キュレーター。ワシントンのナショナル・ギャラリーに勤務。ミニマリズムと1960年代以降の芸術を専門とする。
ロバート・ストー(Robert Storr)
美術批評家・キュレーター。元MoMA主任キュレーター、元イェール大学美術大学院長。2007年ヴェネツィア・ビエンナーレ監督。
ハル・フォスター(Hal Foster)
美術史家・批評家。プリンストン大学教授、『October』編集者。ポストモダニズム、前衛芸術、精神分析と美術の関係を研究。
ジョン・ミラー(John Miller)
アーティスト・批評家。バーナード・カレッジ教授。絵画、彫刻、写真などを通じ、大衆文化や商品、日常生活と芸術の関係を探究。
ヘレン・モールズワース(Helen Molesworth)
キュレーター・批評家。元ロサンゼルス現代美術館チーフ・キュレーター。フェミニズム、芸術と労働、制度批判に関心をもつ。


今回の読書会は、海外の重要な美術批評を、言語の壁を越えて多くの方と共有するため、一般参加費を500円に設定しています。また、翻訳・調査・資料作成などの活動を継続するため、1,000円の活動支援付きチケットもご用意しました。どちらのチケットでも参加内容は同じです。無理のない範囲でお選びください。
また、読書会当日にテキストの読み上げに参加いただける方向けに無料参加枠もご用意いたしました。上記の座談会参加者の中から1名を選んで、該当者の発言を読み上げていただきます。当時は画面に日本語訳を表示しながらの進行となります。参加者の立場や発言は対立も含みつつかなり幅のあるものとなっておりますので、同じ声ではなく、異なる声で読み上げられることにも意味があると思っていますので、こちらのチケットでも奮ってご参加ください。

お申し込み:

一般参加チケット:500円

芸術係数オンライン読書会:拡張された場における美術批評について vol.1 一般参加チケット

芸術係数オンライン読書会:拡張された場における美術批評について vol.1 一般参加チケット

¥500

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活動応援チケット:1000円

芸術係数オンライン読書会:拡張された場における美術批評について vol.1 活動応援チケット

芸術係数オンライン読書会:拡張された場における美術批評について vol.1 活動応援チケット

¥1,000

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読み上げ参加チケット:無料

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*Peatixからもお申し込みできます。(「一般参加チケット」と「活動応援チケット」のみ)
**お申し込み後、チケットご購入時に登録いただいたメールアドレス宛にZoomの視聴リンクをお送りいたします。

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