現代アート史の基礎講座:関係性の美学と1990年代以降のアーティストたち Vol.1

Seminar

※2025年10月18日(土)無料説明会〔対面&オンライン〕を開催します!
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第1回 リクリット・ティラヴァーニャ

アートはいつも、自由に活動し、考え、観て、聴くための機会を、人々に差し出そうとしてきた。
—リクリット・ティラヴァーニャ

開催日10月25日(土)18:00-
講師:辻憲行〔翻訳家/芸術係数主宰〕

芸術係数ではオンライン講座「1990年代以降のアーティストたち Vol.1」を開催します。第1回目はリクリット・ティラバーニャを取り上げます。

冷戦の終結、グローバリゼーションの進展、デジタル技術の普及、環境問題の顕在化――1990年代の包括的変化は、私たちを取り巻く世界を日常生活のレベルで大きく変えました。2025年の現在においても、私たちは依然として1990年代に起きた変動の最終局面を生きているといえます。したがって、30年近い時間を経てなお、その時代に呼応して生み出された作品は重要な意味を持っており、さらに来るべき新たな時代についての手がかりを与えてくれることでしょう。

この連続講座では日本国外で高い評価を得ている海外のアーティストたちを中心に取り上げますが、その知名度に比べると、彼/彼女らの実際の活動は日本国内には断片的にしか紹介されず、恣意的に解釈されてきた側面も少なくありません。歴史を理解するためには、単なる因果関係や構造としてではなく、世界の可能性の現実化としての固有名を通じてその展開を見る必要があります。美術史についてもそれは同じです。そして美術の歴史は単独で展開してきたのではなく、他の領域の出来事とのもつれ合いのなかで進んできました。つまりアーティストたちの活動は、歴史の創造/想像であり、その中継点であり、そして同時代の多様な実践が交錯する場なのです。彼/彼女たちは、そこで自らの経験を特異な形式に構成していきます。私たちは一人一人のアーティストの作品をそのような眼で見つめていかなければなりません。 本講座では主に1990年代以降にアートシーンに登場したアーティストを毎回一人ずつ取り上げ、各アーティストのキャリア全般に光をあて、幅広く紹介することで、その現在性と意義を多角的に捉えていきます。


ティラヴァーニャは1990年の《UNTITLED 1990 (PAD THAI)》(Paula Allen Gallery, New York)や1992年の《Untitled (Free)》(303 Gallery, New York)といったプロジェクトの実施以降、国際的な知名度を得ました。観客に料理をふるまう実践は「関係性の美学」の象徴として紹介され、交流や共同性を重視する作品はポジティブに評価された一方、クレア・ビショップの「敵対と関係性の美学」に代表されるように、社会的対立や政治性の希薄さを指摘する批判も向けられました。
一方日本国内での受容は、その活動は極めて断片的にしか紹介されておらず、「場の共有」や「おもてなし」のような文化的価値と結びつけられ、あるいはビショップによる批判的読解が無批判に受け入れられ、ローカルに閉じた解釈が進んでいる状況にあります。
今回の講座では、初期のプロジェクトから国内ではあまり言及/紹介されていない近年の活動も取り上げ、彼の作家活動のコンセプトおよびコンテクストについて包括的に紹介します。

なお、配信時には画像や動画をお見せできないため、事前に作品画像や各種動画、関連Websiteのリンクを掲載した年表をPDFにて配布します。該当アーティストの活動歴、アート界の出来事、社会の出来事を年ごとに一覧できるものになっており、回を重ねるごとに改訂していきます。加えて、講義で使用したスライドも配布します。

*本講座はZoomミーティングを使用して行います。
*事前にチケットをご購入ください。チケット購入時にご記入いただいたメールアドレスにZoomミーティングの招待お送りしますので、招待メールが受け取れるメールアドレスをご記入ください。
*本講座は終了後1ヶ月間アーカイブいたしますので、見逃した部分や離席した箇所を後でご確認いただくことも可能です。

参加費:1500円

チケット:

芸術係数オンライン講座:関係性の美学と1990年代以降のアーティストたち Vol.1 リクリット・ティラバーニャ

¥1,500

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今後取り上げる予定のアーティスト:
フィリップ・パレーノ
ピエール・ユイグ
リーアム・ギリック
カールステン・ヘラー
アンジェラ・ブロック
ドミニク・ゴンザレス=フォレステル
ホルヘ・パルド
へギュ・ヤン
マーク・レッキー
ロリス・グレオー
デヴィッド・ハモンズ
ダン・グレアム
キャメロン・ローランド
など

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