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第1回 リクリット・ティラヴァーニャ
アートはいつも、自由に活動し、考え、観て、聴くための機会を、人々に差し出そうとしてきた。
—リクリット・ティラヴァーニャ
開催日10月25日(土)18:00-
講師:辻憲行〔翻訳家/芸術係数主宰〕
参加費:1500円
「我ら異人〔の恩恵〕を信ず(IN ALIENS WE TRUST)」
芸術係数ではオンライン講座「1990年代以降のアーティストたち Vol.1」を開催します。第1回目はリクリット・ティラバーニャを取り上げます。
冒頭に掲げた「In Aliens We Trust (我ら異人〔の恩恵〕を信ず)」は2025年10月20日よりシャンタル・クルーゼル(パリ)で開催されているリクリット・ティラヴァーニャの最新の個展のタイトルです。この言葉はアメリカの国是である「In God We Trust (我ら神〔の恩恵〕を信ず)」を言い換えたものです。
「In God We Trust 」は貨幣に刻まれ、パトカーや裁判所にも掲げられており、米国の多くの権力表象に見られる言葉です。この言葉は古くから米国の貨幣に記載されていましたが、これが国是となったのは1950年代、冷戦初期のアイゼンハワー大統領の時代で、当時は共産主義国家や米国内の共産主義者たちに対して国家的な団結を高める必要があり、その象徴として、それまでの実質的な国是であった「E Pluribus Unum(多数から一つへ)」に変わって「In God We Trust」が正式な国是とされました。近年の米国の政治状況から見ると、この言葉の意味は単なる象徴として以上の意味を持ち始めているように感じられます。
同展でティラヴァーニャは、世界各地で高まる排外主義と移民との共生をめぐる問題、権威主義の浮上、あるいは外部のないプラットフォームとしてのソーシャルネットワークの時代に、「異邦の存在」として、「異人の想像力」を通じて、「現実」ついて意識を向けるための時空間を提供しようとしているのです。
本講座では、同展を起点として、ティラヴァーニャの作品のなかに見られる、権威・制度・統治の表象や言語の翻訳と転位の軌跡を、彼の活動歴を遡るように辿っていきます。私たちの意識を現実から逸らし、分断と孤立へと導く世界の中で、敵対的な抵抗ではなく、翻訳を通じた対話の基礎をなす様々な形式における「共通の言語」の探求を続ける彼の実践には、これからの社会におけるアートの居場所のヒントをきっと見出すことができるはずです。
リクリット・ティラヴァーニャ(Rirkrit Tiravanija)
1961年ブエノスアイレス生まれ。タイ、エチオピア、カナダ、米国を往復しながら育ち、トロント(OCAD)、シカゴ(SAIC)、ニューヨーク(Whitney ISP)で学ぶ。活動拠点はニューヨーク/ベルリン/チェンマイを往来。
タイ北部(チェンマイ)でThe Land Foundation(1998–)をカミン・レーチャイプラサートらと共同運営。農・建築・学び・食を循環させる「場づくり」を長期で継続し、その思想を〈Do We Dream Under the Same Sky〉など国際的プロジェクトへ翻訳する。
アーティスト/オーガナイザー/教育者/時に映画作家。2004年Hugo Boss Prize受賞。2023–24年MoMA PS1の大規模サーベイ「A LOT OF PEOPLE」で再評価が広がる。
講座の開催によせて
冷戦の終結、グローバリゼーションの進展、デジタル技術の普及、環境問題の顕在化――1990年代の包括的変化は、私たちを取り巻く世界を日常生活のレベルで大きく変えました。2025年の現在においても、私たちは依然として1990年代に起きた変動の最終局面を生きているといえます。したがって、30年近い時間を経てなお、その時代に呼応して生み出された作品は重要な意味を持っており、さらに来るべき新たな時代についての手がかりを与えてくれることでしょう。
この連続講座では日本国外で高い評価を得ている海外のアーティストたちを中心に取り上げますが、その知名度に比べると、彼/彼女らの実際の活動は日本国内には断片的にしか紹介されず、恣意的に解釈されてきた側面も少なくありません。歴史を理解するためには、単なる因果関係や構造としてではなく、世界の可能性の現実化としての固有名を通じてその展開を見る必要があります。美術史についてもそれは同じです。そして美術の歴史は単独で展開してきたのではなく、他の領域の出来事とのもつれ合いのなかで進んできました。つまりアーティストたちの活動は、歴史の創造/想像であり、その中継点であり、そして同時代の多様な実践が交錯する場なのです。彼/彼女たちは、そこで自らの経験を特異な形式に構成していきます。私たちは一人一人のアーティストの作品をそのような眼で見つめていかなければなりません。 本講座では主に1990年代以降にアートシーンに登場したアーティストを毎回一人ずつ取り上げ、各アーティストのキャリア全般に光をあて、幅広く紹介することで、その現在性と意義を多角的に捉えていきます。
配信時には画像や動画をお見せできないため、事前に作品画像や各種動画、関連Websiteのリンクを掲載した年表をPDFにて配布します。該当アーティストの活動歴、アート界の出来事、社会の出来事を年ごとに一覧できるものになっており、回を重ねるごとに改訂していきます。加えて、講義で使用したスライドも配布いたします。
*本講座はZoomミーティングを使用して行います。
*事前にZoomミーティングのリンクをお試しいただき、問題がございましたら、下記お問い合わせ先までご連絡ください。
*本講座は終了後1ヶ月間アーカイブいたしますので、見逃した部分や離席した箇所を後でご確認いただくことも可能です。
お問い合わせ:
info@artcoefficient.net
辻 憲行(つじ のりゆき):
1970年生まれ。山口大学大学院人文科学研究科美学美術史専攻修了。
1998年から2006年にかけて、秋吉台国際芸術村(山口県)にてレジデンス、展覧会、WS、セミナーなどの企画・運営を行なう。2008年、東京都写真美術館にて第一回恵比寿映像祭のキュレーター、2009年から2010年まで同館学芸員を務める。主な企画展(共同企画も含む)に、「アート・イン・ザ・ホーム」(2001)、「チャンネル0」(2004)、「トランスフォーマー」(2005)、第一回/第二回恵比寿映像祭(2009/2010)、藤城嘘個展「キャラクトロニカ」、「ワールド・ピクチュア」(2013)などがある。
チケット:
辻 憲行(つじ のりゆき):
一九七〇年生まれ。山口大学大学院人文科学研究科美学美術史専攻修了。
一九九八年から二〇〇六年にかけて、秋吉台国際芸術村(山口県)にてレジデンス、展覧会、WS、セミナーなどの企画・運営を行なう。二〇〇八年、東京都写真美術館にて第一回恵比寿映像祭のキュレーター、二〇〇九年から二〇一〇年まで同館学芸員を務める。主な企画展(共同企画も含む)に、「アート・イン・ザ・ホーム」(二〇〇一)、「チャンネル0」(二〇〇四)、「トランスフォーマー」(二〇〇五)、第一回/第二回恵比寿映像祭(二〇〇九/二〇一〇)、藤城嘘個展「キャラクトロニカ」、「ワールド・ピクチュア」(二〇一三)などがある。
今後取り上げる予定のアーティスト:
フィリップ・パレーノ
ピエール・ユイグ
リーアム・ギリック
カールステン・ヘラー
アンジェラ・ブロック
ドミニク・ゴンザレス=フォレステル
ホルヘ・パルド
へギュ・ヤン
マーク・レッキー
ロリス・グレオー
デヴィッド・ハモンズ
ダン・グレアム
キャメロン・ローランド
など


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